二月堂 舞台の画像

東大寺は大仏殿だけじゃない。山の斜面に懸造りで建てられた仏堂、二月堂がかっこいい

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京都にある清水寺ほどではないですが、奈良にも立派な懸造り(かけづくり)の建造物があります。
その建造物を「二月堂(にがつどう)」といいます。

見ての通り、斜面の凹凸にあわせて柱を立て、建物が水平になるように作られています。

二月堂 舞台の画像
二月堂 舞台

二月堂 アクセス


住所
〒630-8211 奈良県奈良市雑司町 雑司町406-1 二月堂
拝観時間
24時間拝観可能
拝観料
無料
電話
0742-22-5511
参考資料
この記事は以下の書籍を参考にさせていただきました
東大寺お水取り:小学館
東大寺:平凡社
東大寺物語:世界文化社

近鉄奈良駅から二月堂への道順はお水取りについて書いた過去記事に詳しいのでそちらを参考にしてください。

2019 | 東大寺お水取りを見るにはどうすればいいの?混雑を避けるには?

 懸造り(かけづくり)とは

斜面に建つ二月堂画像
斜面に建つ二月堂

懸造りとは、懸崖造り(けんがいづくり)や崖造り(がけづくり)とも呼ばれる建築です。
平地ではなく、斜面に建築する際の建築様式です。

このような建築を仏堂に採用するのは、菩薩様が岩座(いわくら)に立つ説話に由来しています。
こういった建築は日本各地にあります。

二月堂の正面部分は舞台造りになっており、ここから松明を突き出す炎の行法で有名なのが「お水取り」です。
お水取りについては先述した過去記事を参照してください。

二月堂ってなに?

さて、この二月堂が東大寺にあることをご存知でしょうか。
東大寺とえば大仏殿であり、主役は奈良の大仏様です。
二月堂とは、その東大寺にある仏堂です。

仏堂とは、仏像を安置するための建造物のことです。
二月堂に安置されているのは十一面観音です。

ただし、絶対秘仏のために東大寺の僧でさえ見ることをゆるされていません。

観光に来られる方々は大仏殿で大仏様を拝んでも、坂道を登って二月堂に行かれるかたは少数派です。
私は二月堂が好きなので、ここで二月堂を推してみようと思います。

二月堂の歴史と規模

二月堂 線香台画像
二月堂 線香台

二月堂は天平時代に創建されたといいますから、729年―749年の間に建てられたのでしょう。
創建時の建物は寛文7年(1667年)の修二会(しゅにえ/お水取りと呼ばれる)中に発生した火災で全焼してしまいます。

この1667年の火災は二月堂にとって4度目の火災です。
2年後の1669年に再建されたものが、現在見ることができる二月堂です。

二月堂といえば西に迫り出した舞台です。
その舞台正面は約23メートル、側面は27メートルもあり、仏堂としては大きい部類に入る寄棟造(よせむねづくり)の建物です。

二月堂の舞台からの眺望

二月堂 舞台からの眺望画像
二月堂 舞台からの眺望

二月堂の1番の見所といえば、荘厳な懸造り(かけづくり)です。
とはいえ、建築に興味がなければ立派な木造建築だなあ、という印象しかもたれない方も多いと思います。

しかし、建築に興味をもたれない方でも、二月堂のことが印象に残るポイントがあります。
それが舞台からみる眺望です。

写真で向こうに見えいている大きな屋根は、東大寺大仏殿の屋根であり、その下に大仏様がいらっしゃいます。
山の斜面に建てられているので、このように奈良市内が一望できます。

奥に見えているのは生駒山です。生駒山を越えると大阪府があります。
大戦の時には、夜、生駒山の向こうの空が空襲で真っ赤になるのが見えたそうです。

舞台へ上がる石段

二月堂  石段画像
二月堂  石段

東大寺大仏殿から二月堂へ向かうとすれば、1番の近道は鏡池横の参道を上がる行き方です。
二月堂までの距離が短い分、遠くから回り込むような行き方よりは勾配のある坂道を上がることになります。

二月堂に着いても、舞台まではまだ高さがあるので、最後に急な石段を登ります。
石段を登りきると二月堂の南側側面へ出ます。

そこには、他ではなかなか見ない、大きな瓜燈籠(うりとうろう)が吊るされています。

瓜燈籠画像
瓜燈籠

二月堂の回廊

二月堂 | 回廊_画像
二月堂 回廊:北から南を見ています
二月堂 回廊画像
二月堂 回廊:南から北を見ています

お水取りの際に、大きな松明を迫り出して火の粉を散らすのがこの回廊(舞台)です。

ここから西を向くと、奈良市内を一望することができます。
この回廊が二月堂をぐるりと周っています。

回廊を北へゆくと、休憩を取れる茶所があります。

二月堂の茶所

二月堂 茶所画像
二月堂 茶所

二月堂には茶所があり、そこでは無料で休憩をとることができます。
茶所には、畳みの座敷と、テーブルがあります。

お茶が用意されているので、湯のみにお茶をいれていただけます。
使った湯のみは自分で洗って戻さなくてはなりません。

二月堂 茶所の湯のみ画像
二月堂 茶所の湯のみ
二月堂 流し画像
二月堂 流し

湯のみを洗う流しも時の流れを感じさせる風情です。
いつから使われているのでしょうか。

籠松明画像
二月堂 松明の展示

また、お水取りで使われる松明(たいまつ)も飾られており、ちょっとした展示室のようにもなっています。

良弁杉(ろうべんすぎ)

二月堂 良弁杉画像
二月堂 良弁杉

二月堂の舞台の前に、杉の木が一本立っています。
この杉を良弁杉といいます。

良弁(ろうべん)とは人の名で、二月堂で行われる行法「お水取り」を始めた実忠和尚(じっちゅうかしょう)の師であり、良弁僧正(ろうべんそうじょう)と呼ばれます。

その良弁僧正にまつわる話は有名であり、文楽や歌舞伎で良弁物語として演じられます。
南都二月堂良弁杉由来によると、良弁は鷲(わし)にさらわれて東大寺にやってきたと伝えられています。

その際に良弁が大杉に吊るされたという話があり、その大杉が良弁杉です。
とはいっても、今ある良弁杉は3代目です。

二月堂のトイレ

二月堂 トイレ画像
二月堂 トイレ

急にトイレの話かと思われるかもしれませんが、観光されるかたにとってはこれも大切な情報です。
二月堂にはトイレが2箇所あります。
石段を登った先にある受納所(東大時の御朱印帳も買うことができます)の裏手のトイレが新しくなり、とてもきれいです。

もう1つは回廊を北に行った先にある、茶所の奥にもあります。
こちらの方は、先に紹介したトイレよりは古いものです。

二月堂まとめ

  • 大仏殿も良いけれど二月堂も良い
  • 懸造りが惚れ惚れする
  • 奈良公園内で1番高度がある
  • なんと参拝料は無料
  • なんと24時間参拝可能
  • これからも記事は少しずつ増やします




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