2020 | 東大寺お水取りを見るにはどうすればいいの?混雑を避けるには?

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テレビなどでおなじみのお水取りの風景は2020年3月12日19時30分から見ることができます。
西暦752年から1度の中止もなく、2020年で1268回目になる行事です。
この日は奈良公園周辺が大変混雑し、警察・機動隊が出動して観客の誘導にあたります。
せっかく奈良まできたのに、お水取りを見ることが出来ずに帰るなんとこともあるので注意が必要です。
この記事では次のことを紹介します

  • いつ、どこで見られるのか
  • 料金はいくらか
  • 何時に行けばよいか
  • どうやって行けばよいか
  • 二月堂|修二会|お松明|お水取り|解説

どこで見られるのか

東大寺 | 二月堂_画像
東大寺 | 二月堂

お水取りは奈良公園内にある、東大寺というお寺の仏堂「二月堂」でみることができます。

お水取りの誤解

二月堂 | 回廊_画像
二月堂 | 回廊:ここから松明を突き出します

テレビでお馴染みの、火の粉を撒き散らしながら人が走っている場面を見たくてお水取りに出かける方も多いことでしょう。

実は、あの場面はお水取りではありません。

火の粉を撒き散らしながら人が走っている行事を「お松明(たいまつ)」といいます。
「お水取り」や「お松明」といった行事は「修二会(しゅにえ)」という大きな行事の中のひとつなのです。

期間|修二会

修二会(しゅにえ)は毎年決まった期間に行われる行事(法要です)。

期間:2020年2月16日~2020年3月15日
「そんなに長いの」と驚かれたと思います。

この期間中に皆さんが見たい「お松明(おたいまつ)」が行われます

期間|お松明

お松明(おたいまつ)は、お水取りと誤解されている、炎の行事として有名です。
修二会と同じく、毎年決まった時期に行われます。

期間:2020年3月1日から3月14日
このお松明の日程についても「2週間もあるの」と驚かれたのではないでしょうか。

お松明について

お松明は3月1日から14日までの二週間毎日行われます。
この2週間を修二会本行(しゅにえほんぎょう)と言います。

このお松明の中でも、松明が特に大きく本数も多い日がテレビで放映される3月12日のお松明です。

テレビで放映される3月12日のお松明と、それ以外のお松明で何が違うのかを説明します。

3月12日に使用するお松明

籠松明画像
籠松明 | 二月堂茶屋にある見本

この日に使用する松明を「籠松明(かごたいまつ)」と呼びます。
長さ:8m
重さ:60kg
使用する本数:11本

松明は、それを持つ人が自分の分を製作します。
以前は競って大きいものを作るといったことがあったようですが、安全の面から現在はそういったことは禁止されているそうです。

それ以外の日のお松明

通常松明の使用後画像
通常松明 | 使用後の実物

3月1日~11日と13,14日に使用するお松明
12日以外に使用する松明を「通常松明」と呼びます。
長さ:6 ~ 8m
重さ:40kg

お松明の当日スケジュール

3月1日~11日と13日
時間:19時
本数:10本
約20分間行われます
3月12日
時間:19時30分
本数:11本
約45分間行われます
【注意】
警察の誘導により、
入れ替わり制です
3月14日
時間:18時30分
本数:10本
約10分間行われます
横1列に10本の松明が一同に並びます

お松明の入場料

入場料は無料です。
そもそもお松明(お水取り)が行われる二月堂には拝観料が必要ありません。

東大寺は大仏殿・法華堂(三月堂)・戒壇堂の3つは、それぞれ一律大人600円(中学生以上)、小学生300円ですが、二月堂に拝観料はありません。

だからというわけではないですが、普段からお勧めの観光スポットです。

お水取り(お松明)を見るために

お水取りの行われる13日の前夜、12日は松明も通常松明から籠松明へ持ち替えられて、炎はよりいっそう大きく激しく燃えます。

毎年大勢の観客が訪れる12日のお松明(一般的にお水取りと呼んでいるもの)を見たいと思われる方は、16時には二月堂に到着していることが望ましいです。
【注意】12日のみ、警察の誘導により観客入れ替わり制です。1本目のお松明から最後までを通してみることはできません。

二月堂|行きかた

電車がおすすめです。最寄り駅は近鉄奈良駅です。
JR奈良駅からは遠いのでお勧めしません。

修二会(お水取り)が行われる期間は、奈良公園周辺の混雑が予想されます。
車で行かれる予定の方は余裕を持ってお出かけください。

3月12日については、車で奈良公園へ向かうのはあきらめたほうが良いかもしれません。

私は奈良公園へは自転車で30分程のところに住んでいるので、向かおうと思えば自転車でもいけますが、とても二月堂までは自転車ではいけないので、当日は電車で向かいます。

車で行かれる方も、奈良駅から2,3駅離れた駅の近くあるコインパーキングに車を停めて、そこからは電車で近鉄奈良駅に向かわれることをお勧めします。

近鉄奈良駅から二月堂への道順

二月堂 | 行きかた画像
二月堂 | 行きかた

近鉄奈良駅から徒歩30分
近鉄奈良駅から修二会(お水取り)の行われる二月堂まで歩いてゆきます。

12日以外であればタクシーで少しでも近くまで車で移動も可能だと思いますが、12日は徒歩で二月堂へ向かうことになるでしょう。

普段であれば20分ほどの道のりですが、余裕をみて30分はかかると思っておきましょう。

近鉄奈良駅を出て東向きの風景画像
近鉄奈良駅を出て東向きの風景

近鉄奈良駅を出て、山が近くに見える方向(東向き)が東大寺のある方向です。

坂道になっていますので、それを上ってゆくと5分ほどで左に奈良県庁が見えてきます。

奈良県庁を過ぎたところにある大きな交差点が県庁東という交差点です。
この交差点を山の方角へ渡ると、すぐに右手に奈良国立博物館が見えてきます。

奈良国立博物館を過ぎると、大仏殿という交差点があります。
この交差点の北側が東大寺です。

春日野画像
春日野 | 奥にみえるのは若草山

東大寺の東側(山側)に広がる広場のようなところが春日野と呼ばれ、イベントも開催されるような大きな広場です。

東大寺参道画像
東大寺 | 参道:この先に南大門があります

大仏殿の交差点の北側には東大寺大仏殿へ向かう参道があるので、そこを北へ進みます。

南大門画像
南大門

見えてくる大きな門は、南大門です。

東大寺鏡池画像
東大寺|中門|大仏殿| 鏡池

南大門をくぐり、更に北へ進むと中門が見え、その向こうに大きな大仏殿が見えます。
中門の手前、東側にある池が鏡池です。

鏡池横の二月堂への参道入り口画像
鏡池横の二月堂への参道入り口

この鏡池の横を、二月堂へ向かう参道があります。

近鉄奈良駅から徒歩で二月堂へ向かう場合、最も一般的な行きかたは鏡池の横を登ってゆく道です。
他には春日野を横断し、手向山八幡宮を通って二月堂へ行く道もあります。

正確に測ったわけではないですが、地図を眺めてみても鏡池からの行きかたが距離は短いです。

二月堂参道階段画像
二月堂参道には階段があります

大仏殿の見下ろす高さまで登るので、距離の短い鏡池から行く方が、やや勾配がきついです。

手向山八幡宮画像
手向山八幡宮

春日野を横断する行きかたは、ぐるっと回りこんで手向山八幡宮(たむけやまはちまんぐう)を通るため、遠回りですがその分、勾配は若干ゆるやかです。

他にも、焼門前交差点から中御門跡(地図上では東大寺焼門とも表記されることもある)から大仏殿の裏側を通るルートもあります。

二月堂への行きかたは、どの行きかたが混雑しないかは不明ですが、混雑してきた場合は、警察と機動隊の誘導に従うことになります。

場合によっては二月堂へ行くことも制止されるので、早めに向かうほうが良いでしょう。
籠松明(かごたいまつ)の焚かれる3月12日は、18時頃になると会場へ近づくことができないと思われます。

※最も混雑する12日以外は警察や機動隊に制止されることはありません
※2番目に混雑する14日もご注意ください

お水取り(お松明)|時間

東大寺関係者にお聞きしたところ、だいたいの目安として次のように教えてくださいました。

  • 12日は16時頃には着くように。
  • 1日~11日、13日は18時までに着くように。
  • 14日は17時までに着くように。

お松明は3月1日から3月14日まで行われ、開始される時間は3種類です。

ここでは1番混雑する12日について説明します。

3月12日のお松明が始まるのは19時30分。
11本の普段より大きな松明が使用され、約45分間にわたって行われます。

お松明は二月堂の下にある広場から見学します。
広場で立ち見するのですが、12日はここへ来るのも大変です。

東大寺関係者に伺ったところ、確実に広場で場所を取るためには17時までには到着しておいたほうが良いとのこと。
早い人は16時にはもう広場で待っているとのことでした。
【注意】12日のみ、警察の誘導により観客入れ替わり制です。1本目のお松明から最後までを通してみることはできません。

ここまで早く二月堂の広場に着く必要があるのは12日だけだそうです。
14日も特別なので混みますが、12日と比べると少ないとのこと。

では、他の日はどうかといえば、もの凄い混雑にはならないということでした。

他の日は19時からお松明が始まりますが、18時に到着するようなタイミングでも広場に入れることがほとんどだそうです。

どうしても12日の籠松明にこだわるのであればしかたありませんが、そうでなければ他の日のお松明を近くで見るというのも良い選択かもしれません。

お水取り(お松明)|服装

寒い地方からこられる方にとっては、さほど特別ではないと思いますが、大阪からこられる場合、その寒さに驚かれると思います。

ただでさえ寒い3月の奈良ですが、早く来て場所をとって始まるのを待つことになります。
立ち見なので椅子で場所を取るといったことはできません。

ずっと立ったまま、寒いのを我慢して待たなくてはいけません。

体を温めるカイロは十分に用意し、服装も山の中でじっとしていても大丈夫といった格好が必要です。
まんがいち暑ければ脱げばよいだけですが、寒いのはどうしようもありません。

大阪出身の私が感じる奈良の寒さは、大阪とは違います。
3月の夜、奈良は大阪天満宮の深夜の初詣よりも寒いです。

お水取り(お松明)|空いているのはいつ?

12日の籠松明にこだわらず、空いている日に見学したいのですが、いつがよいですかと東大寺関係者に聞いてみました。
1番空いていて、ゆったりと見学できるのはお松明が始まった最初の方だそうです。

3月1日から始まるお松明ですが、土日を除けば最初の方ほど空いているとのこと。
徐々に混み始め、土日は特に多く、12日は曜日に関係なく非常に混みます。

2020年3月12日は木曜日です。
2020年3月8日の日曜日も混雑が予想されます。

土日の見学を希望されるなら、お松明が始まった最初の週、3月1日,7日の土日が空いているかもしれません。

解説 | 二月堂

二月堂画像
二月堂 | 国宝

修二会(お松明・お水取りなど)は東大寺にある二月堂で行われる行事です。
二月堂と言っても何処のことか知らない方もいらっしゃると思います。

奈良公園には東大寺というお寺があり、奈良の大仏はこのお寺の大仏殿の中に安置されています。
その東大寺の東にある仏堂が修二会(お松明・お水取りなど)の行われる二月堂です。

修二会が行われる仏堂は、修二会が旧暦2月に行われるので二月堂と呼ばれるようになりました。

二月堂については、別記事に詳しく紹介しています。

東大寺は大仏殿だけじゃない。山の斜面に懸造りで建てられた仏堂、二月堂がかっこいい

解説 | 修二会

修二会(しゅにえ)とは、密教経典に基づく悔過(けか)の法要です。

少し分かりやすく説明すると、二月堂の本尊である、十一面観音菩薩へ懺悔(ざんげ)するといった内容です。
この修二会という法要の中に、お松明・お水取りといった行事が組み込まれています。

二月堂の本尊が十一面観音なので、正式には十一面観音悔過法要といいます。

修二会の歴史

修二会は西暦752年(天平勝宝4年)2月1日(旧暦)、東大寺を開いた良弁僧正(ろうべんそうじょう)のお弟子さんである、実忠和尚(じっちゅうかしょう)によって、初めて十一面悔過会(修二会)が行われたとあります。

この年は、東大寺の大仏さんが完成した年でもあります。
752年から1度の中止もなく、2020年で1268回目になる行事です。

現在では2月20日に別火(べっか)入りし、3月15日の満行(まんぎょう)までの長期の行法として有名です。

解説 | お松明

二月堂 | 登廊画像
二月堂 | 登廊:ここを松明の明かりで上堂する

修二会の本行は上七日(じょうしちにち)と下七日(げしちにち)の計14日間行われます。
この14日の間、多くの見物客を集める火の行事が行われます。

松明(たいまつ)の火は連行衆(れんぎょうしゅう)と呼ばれる僧侶が、登廊(とろう/屋根のある長い階段)の平石段を登り、二月堂に上堂する際(二月堂に入る)、足元を照らす明かりの役目があります。
役目を終えた松明を二月堂の回廊から迫り出し、回転させながら火の粉を散らすところが有名な場面です。

上堂した僧侶が二月堂の中で法要を行うのですが、それが終わって下堂(二月堂から出る)するのは深夜のことになります。

解説 | お水取り

閼伽井屋画像
閼伽井屋 | 右上に見えるのが二月堂

その昔、諸国13,700余りの神様が二月堂に集まるといったときに、若狭国(福井県のあたり)の遠敷(おにゅう)明神が魚釣りに興じていたために遅れてしまいました。

それを他の神々に咎められたので、遠敷明神はお詫びとして若狭国からご本尊に供える水を送ると申し出ました。

遠敷明神が二月堂の下にある岩の前で祈ったところ、岩が割れ、その中から白と黒の2羽の鵜が飛び出し、その後から甘水が湧き出たそうです。

その水を汲み取って、ご本尊に供えられたのがお水取りの由来であり、始まりです。

甘水が湧き出たところは若狭井(わかさい)と呼ばれる井戸となり、閼伽井屋(あかいや)という建物の中にあります。

今もこの井戸から水を汲み取って、ご本尊である十一面観音菩薩に供えられます。

汲み取られた水のことをお香水(こうずい)あるいは閼伽水(あかみず)と呼びます。
これがお水取りと呼ばれている行事です。

お水取りは東大寺にとって最も大切な行事です。

お水取りはお松明が終わって日付が変わり、深夜1時頃から始まります。
お水取りの行列が上堂から若狭井のある舞台下へ、石段を降りてゆきます。

二月堂石段画像
この石段を降りる | 右上が閼伽井屋

お水取りに向かうのは、咒師松明(しゅしたいまつ)を先頭に咒師他5名です。

途中、興成社に詣でた後、咒師と堂童子のみ若狭井のある閼伽井屋に入ります。
お香水は2荷ずつ3回運ばれて、本尊に供えられます。

お水取りが終わったあとも行事は続けられ、12日に始められた行事が終わるのは深夜3時を過ぎます。



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